女子ゴルフの世界ランキング1位、ネリー・コルダ選手が、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ「シェブロン選手権」で、苦しい初日から一転、見事な巻き返しを見せて予選通過を果たしました。その背景には、彼女自身の強い信念がありました。
波乱の幕開け:初日の試練
大会初日、コルダ選手は本来の実力を発揮できず、6つのボギーを叩き、バーディーはわずか1つ。スコアは5オーバーの「77」となり、これは昨年の「全米女子オープン」初日の「80」以来となる、LPGAツアーでのワーストな初日スコアでした。ディフェンディングチャンピオンであり、世界ランキング1位の選手が直面した予期せぬ苦境に、多くの注目が集まりました。
信念を胸に:第二ラウンドの反撃
「信念を持つこと(Have faith)」をこの日のモットーに掲げたコルダ選手。しかし、第二ラウンドも序盤は苦難の連続でした。10番ホールからスタートし、11番、12番で連続ボギー。一時は通算7オーバーまでスコアを落とします。
それでも彼女は崩れませんでした。続く4ホールをパーでしのぐと、17番パー3で待望のバーディー。さらに18番、そして折り返した1番でもバーディーを奪い、通算4オーバーまでスコアを戻します。予選通過のラインが見え始めた瞬間でした。
ラウンド比較:初日 vs 2日目
項目 | 初日 (Round 1) | 2日目 (Round 2) |
スコア | 77 (+5) | 68 (-4) |
バーディー数 | 1 | 6 |
ボギー数 | 6 | 2 |
パット数 | – | 初日より3改善 |
GIR (パーオン率) | – | 初日より3改善 |
プレー内容 | 苦戦 | 粘り強いプレーで見事な巻き返し |
技術的調整と精神的な強さ
初日のパッティングの不調を受け、コルダ選手は2日目にパターを変更するという決断を下しました。この変更が功を奏し、パット数は3打改善。さらにパーオン数も3つ増やすなど、技術的な修正がスコアに直結しました。
Nelly Korda moved up 71 spots to make the cut at the Chevron Championship. 📈 pic.twitter.com/KhBJyy34X8
— Golf Digest (@GolfDigest) April 26, 2025
しかし、それ以上に彼女を支えたのは「信念を持つ」という精神的な強さでした。苦しい状況でも自分自身に繰り返し言い聞かせ、決して諦めない姿勢が、終盤の粘りを生み出しました。
土壇場での勝負強さ、そして週末へ
コルダ選手はその後も着実にスコアを伸ばします。4番パー5、6番パー4でバーディーを奪い、通算2オーバーで残り3ホールへ。しかし、時間は刻一刻と過ぎ、日没が迫っていました。
プレッシャーのかかる中、7番をパーで切り抜けると、勝負どころの8番パー5で見事にバーディーを獲得。これで通算1オーバーとし、予選通過圏内へ浮上します。最終9番ホール、迫りくる暗闇の中、ティーショットはやや左へ。セカンドショットはグリーン左のフリンジに。パターではなくチップショットを選択し、これを約1.5メートルに寄せると、落ち着いてパーパットを沈めました。予選通過を確定させた瞬間、彼女は静かにガッツポーズを見せ、安堵の表情を浮かべました。
Never count @NellyKorda out 🙅♀️
She was 7 over with 15 holes to play and still made the cut 👏 pic.twitter.com/SrdfUlopzm
— LPGA (@LPGA) April 26, 2025
「一時は7オーバーでしたから…」と、厳しい状況からの予選通過について語ったコルダ選手。「最後の2ホール(8番、9番)での粘りが大きかった。とにかくクレイジーな一日。予選を通過するだけで、まるでトーナメントに勝ったような気分です」と、その心境を語りました。
第二ラウンドは日没のためサスペンデッドとなり、コルダ選手の第三ラウンドの組み合わせは翌日に持ち越されました。しかし、どのような状況になろうとも、彼女が金曜日の夕暮れに見せた粘り強い戦い、そして最後まで「信念」を持ち続けた姿勢は、多くのゴルフファンに感銘を与えたはずです。