2025年のLPGAツアー最初のメジャー大会、シェブロン選手権は波乱の幕開けとなりました。テキサス州のカールトンウッズを舞台に行われている今大会、中国のヤン・リウ選手がゴルフ史に残るかもしれない、非常に珍しいショットを記録しました。現在(2025年4月26日)、第3ラウンドが始まろうとしていますが、まずは予選ラウンドで起こった驚きの出来事と、トップ選手たちの動向を振り返ります。
ヤン・リウ、7番アイアンでアルバトロス!メジャーの歴史に名を刻むか
大会2日目、多くの選手が悪天候の影響でスコアメイクに苦しむ中、世界ランキング195位のヤン・リウ選手が輝きを放ちました。パー5の8番ホール(505ヤード)、ティーショット後の残り175ヤードを7番アイアンで放ったショットは、グリーン手前に着弾すると、そのままカップイン。これは「アルバトロス(ダブルイーグル)」と呼ばれる、パー5での2打目を直接カップインさせる非常に珍しいスコアです。
リウ選手はこのアルバトロスで一気にリーダーボードを駆け上がり、最終ホールもバーディで締めくくり、通算7アンダーの首位タイ(暫定)で第2ラウンドを終えました。試合後のインタビューでは「とてもクレイジー」と語り、実はエプソンツアーでも7番アイアンでアルバトロスを達成した経験があることを明かしています。2023年からLPGAツアーに参戦しているリウ選手にとって、メジャー大会でのこの快挙は、初優勝への大きな弾みとなるかもしれません。
アルバトロスはホールインワンより遥かに難しい?その希少性を比較
ゴルフファンならホールインワンの凄さはご存知でしょう。しかし、アルバトロスはそれを遥かに凌ぐ希少性を持っています。
記録 | LPGAツアーでの達成頻度(目安) | PGAツアーでの達成確率(推定) | 備考 |
アルバトロス | 2024年は年間2回 | 約72,000分の1 | パー5での2打目カップイン |
ホールインワン | 2024年は年間29回 | 約3,000分の1 | パー3での1打目カップイン |
コンドル | PGAツアー史上1度のみ (Andrew Magee) | – | パー4での1打目カップイン(極めて稀) |
データからもわかるように、アルバトロスはプロゴルファーでさえ滅多にお目にかかれない、まさに「奇跡のショット」と言えます。LPGAツアーでは、1971年から2023年の間に記録されたアルバトロスはわずか30回とのことです。
波乱の予選ラウンド:ネリー・コルダ劇的通過、トップ選手たちの明暗
今大会は悪天候にも見舞われ、予選ラウンドは波乱の展開となりました。木曜夜の降雨により、2日目はリフト、クリーン&プレースが適用され、朝霧の影響でスタート時間も遅れました。
そんな中、世界ランキング1位でディフェンディングチャンピオンのネリー・コルダ選手は、初日にまさかの「77」(+7)と大きく出遅れました。予選通過も危ぶまれましたが、2日目は驚異的な巻き返しを見せます。バックナインスタートで序盤にスコアを落としたものの、17番からの3連続バーディなどでスコアを戻し、最終9番(パー4)も難しいバンカーショットからパーをセーブ。この日「68」(-4)をマークし、通算1オーバーで見事に予選通過を果たしました。
一方で、他のトップランカーたちも苦戦を強いられました。予選カットラインが+1から+2あたりで変動する中、リディア・コ選手(+1で通過)、リリア・ヴ選手(+2で通過)、ジーン・ティティクル選手(+2で通過)は何とか週末へ駒を進めましたが、ハンナ・グリーン選手(+6)は予選落ちとなりました。
また、初日「79」と大叩きしたアシュレー・ブハイ選手が2日目にイーグルを奪うなど猛チャージを見せ、一時は予選通過圏内までスコアを戻す意地を見せました(最終的には+3で予選落ち)。レオナ・マグワイア選手も2日目にスコアを伸ばし、通過を果たしています。
2025年シェブロン選手権 大会情報
項目 | 内容 |
開催コース | ザ・クラブ・アット・カールトンウッズ (テキサス州) |
賞金総額 | 790万ドル |
優勝賞金 | 120万ドル |
予選カット | 36ホール終了時点 上位65位タイまで |
過去の優勝者 | 2024: ネリー・コルダ, 2023: リリア・ヴ, 2022: ジェニファー・カプチョ, 2021: パティ・タバタナキット, 2020: ミリム・リー |
ヤン・リウ選手の歴史的なアルバトロス、そしてネリー・コルダ選手の劇的な予選通過と、見どころの多かった予選ラウンド。決勝ラウンドではどのようなドラマが待っているのか、注目が集まります。