ゴルフ界最高の栄誉の一つ、マスターズ・トーナメント2025は、ローリー・マキロイ選手の劇的なキャリアグランドスラム達成という歴史的な瞬間と共に幕を閉じました。長年追い求めたグリーンジャケットをついにその手に。彼の優勝は、多くの困難とドラマを乗り越えた末の輝かしい成果でした。

幾多の試練、マキロイを襲ったプレッシャーと過去の記憶
最終日、マキロイ選手は終始落ち着いたプレーを展開しましたが、優勝パットを沈めた瞬間、彼の目からは熱いものが込み上げてきました。それは、2011年大会最終日に首位から崩れ落ちた「悪夢」を乗り越え、14年越しに掴んだ栄光への感慨でした。
今大会、マキロイ選手は4つのダブルボギーを喫しました。通常、メジャータイトルにおいてこれは致命的なミスとされます。実際、中嶋常幸プロも「メジャーでのダブルボギーは致命的」とコメントし、現地中継では「ダブルボギーを4つ記録してマスターズを制した者はいない」というデータも存在したほど。しかし、マキロイ選手は精神的な強さを見せつけ、歴史を塗り替える勝利を手にしました。
優勝後のセレモニーでは、愛娘ポピーちゃんが祝福に駆けつけ、会場は温かい感動に包まれました。家族の存在が、計り知れないプレッシャーと戦う彼の大きな支えとなったことは疑いようもありません。
松山英樹、最終日の猛追と見据える未来
日本のゴルフファンが注目した松山英樹選手。最終日は圧巻のプレーを見せ、7バーディ、1ボギーの「66」をマーク。通算スコアを-2とし、21位タイで4日間の戦いを終えました。この日のプレーは、来シーズンへの大きな期待を抱かせるものでした。
ホール | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | OUT | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | IN | Total |
松山英樹 (最終日) | – | – | ○ | – | – | ○ | – | ○ | ○ | -4 | – | – | – | – | ○ | ○ | – | ○ | △ | -2 | -6 (66) |
通算 | -2 |
しかし、ホールアウト後の松山選手は、最終日の好スコアにも決して満足せず、「足りない。全然足りない」とコメント。常に完璧を求める彼の姿勢は健在で、すでに視線は1年後のオーガスタへ向けられています。「しっかり準備したい」という言葉には、さらなる進化への決意が込められていました。
ベテランの意地:44歳ローズ、最後まで優勝争いを演じる
最終盤までマキロイ選手を苦しめたのは、44歳のベテラン、ジャスティン・ローズ選手でした。ローズ選手も最終日に素晴らしいゴルフを展開し、スコアを6つ伸ばす「66」を記録。通算-11でマキロイ選手に並びましたが、プレーオフの末、惜しくも2位タイとなりました。
宮里優作プロと同じ「松坂世代」であるローズ選手。2017年大会でもプレーオフで敗れており、今回もグリーンジャケットにはあと一歩届きませんでした。しかし、百戦錬磨の経験を感じさせる安定したプレーぶりは健在で、多くのギャラリーを沸かせました。彼の活躍は、同世代だけでなく、多くのゴルファーにとって勇気を与えるものでした。
順位 | 選手名 | スコア | 最終日 |
1 | R.マキロイ | -11 | +1 |
2 | J.ローズ | -11 | -6 |
3 | P.リード | -9 | -3 |
4 | S.シェフラー | -8 | -3 |
5T | B.デシャンボー | -7 | +3 |
5T | イム・ソンジェ | -7 | -3 |
7 | L.オーバーグ | -6 | E |
8T | X.シャウフェレ | -5 | -1 |
8T | J.デイ | -5 | E |
21T | 松山英樹 | -2 | -6 |
上記は上位選手と松山選手の最終結果
感謝と共に:中嶋常幸プロ、27年間の解説に終止符
長年にわたり、TBSのマスターズ中継で解説を務めてこられた中嶋常幸プロが、2025年大会をもってその役目を終えることとなりました。27年という長きにわたり、深い洞察とゴルフへの愛情に満ちた言葉で、マスターズのドラマと魅力を日本の視聴者に届けてくださいました。
中嶋プロは、「感動と楽しさ、素晴らしい時間を与えてもらった」「マスターズの試合はいつも素晴らしい」と、マスターズと放送チームへの感謝を語りました。最後は、ゲスト解説の宮里優作プロ、実況の小笠原亘アナウンサーと互いの労をねぎらい、固い握手を交わしました。長年の功績に対し、心からの拍手を送りたいと思います。
