春の女王決定戦とも称される「 ヤマハレディースオープン葛城 」。静岡県の名門、葛城ゴルフ倶楽部 山名コース を舞台に繰り広げられている熱戦は、本日4月5日(土)に第3ラウンドを迎えました。風は穏やかだったものの、難攻不落と名高い葛城のグリーンは選手たちを悩ませます。そんなムービングデーに、圧巻のプレーでリーダーボードの頂点に立ったのは、2023年大会の覇者・穴井詩選手でした。

穴井詩、驚異のパー5攻略で首位奪取 – 2年ぶりの葛城制覇へ王手
3位タイからスタートした穴井選手は、まさに「ゾーンに入った」プレーを見せつけました。この日5バーディ、ノーボギーの「67」をマークし、通算11アンダーで単独首位に躍り出ました。
特筆すべきは、そのパー5での圧倒的な強さです。2日目に続き、この日も4つ全てのパー5でバーディを奪取。3日間を通して、パー5だけで1イーグルを含む11アンダーを叩き出すという、驚異的なスコアメイクを見せています。
穴井詩選手のパー5スコア (3日間)
ホール | Par | 1R | 2R | 3R | 合計 (対パー) |
3番 | 5 | -1 | -1 | -1 | -3 |
5番 | 5 | ±0 | -1 | -1 | -2 |
15番 | 5 | -2 | -1 | -1 | -4 |
18番 | 5 | -1 | ±0 | -1 | -2 |
合計 | 20 | -4 | -3 | -4 | -11 |
最終18番パー5では、この日唯一2オンを逃したものの、約8メートルのバーディパットをねじ込み、力強いガッツポーズ。まさに女王の貫禄を示すフィニッシュでした。
「ロング(パー5)が獲れるのが一番かなと思います。18番以外はほぼほぼ2オンなので」とラウンド後に語った穴井選手。37歳にしてなお進化を続ける飛距離は、オフに取り組んだヨガによる可動域アップも要因の一つかもしれません。2年ぶりの大会制覇へ、視界は良好です。
藤田さいき、経験値で粘る – 1打差2位で「懐かしいペアリング」へ
首位からスタートした藤田さいき選手は、2バーディ、ノーボギーの「70」と堅実なプレー。通算10アンダーとし、首位の座は譲ったものの、1打差の単独2位と絶好の位置をキープしました。
「手前から攻めるゴルフを徹底している」と語る藤田選手。実は今週、ぎっくり腰を抱えながらのプレーで、針治療を受けながらの出場です。それでも、豊富な経験と巧みなコースマネジメントでスコアをまとめ上げるあたりは、さすがベテランと言えるでしょう。
最終日は、穴井選手、そして3位タイにつける全美貞選手(42歳)との最終組。平均年齢39.3歳という、近年の女子ツアーでは珍しい顔ぶれとなりました。藤田選手も「懐かしい感じのペアリング。ベテランならではの技を勉強させてもらえる」と、この経験豊富な選手たちとの戦いを楽しみにしている様子です。
混戦模様の上位争い – 初優勝狙う若手も虎視眈々
首位の穴井選手、2位の藤田選手を、実力者たちが僅差で追っています。
ヤマハレディースオープン葛城 3日目終了時点 上位スコア
順位 | 選手名 | 通算スコア | 3日目スコア | 合計 | 首位との差 |
1 | 穴井 詩 | -11 | 67 (-5) | 205 | – |
2 | 藤田 さいき | -10 | 70 (-2) | 206 | 1 |
3T | 全 美貞 | -9 | 68 (-4) | 207 | 2 |
3T | 木村 彩子 | -9 | 69 (-3) | 207 | 2 |
3T | 小林 光希 | -9 | 70 (-2) | 207 | 2 |
6 | 安田 祐香 | -8 | 69 (-3) | 208 | 3 |
7T | 入谷 響 | -7 | 68 (-4) | 209 | 4 |
7T | 菅 楓華 | -7 | 69 (-3) | 209 | 4 |
7T | 桑木 志帆 | -7 | 69 (-3) | 209 | 4 |
7T | 渡邉 彩香 | -7 | 69 (-3) | 209 | 4 |
11T | 河本 結 | -6 | 67 (-5) | 210 | 5 |
11T | 鈴木 愛 | -6 | 70 (-2) | 210 | 5 |
11T | 泉田 琴菜 | -6 | 72 (±0) | 210 | 5 |
11T | 佐久間 朱莉 | -6 | 72 (±0) | 210 | 5 |
通算9アンダーの3位タイには、百戦錬磨の全美貞選手、安定感のある木村彩子選手に加え、ツアー3年目で初優勝を狙う小林光希選手が入りました。小林選手は前週4位タイと調子を上げており、「先週に引き続きショットが良い」と手応えを感じています。
さらに、6位の安田祐香選手(通算8アンダー)、7位タイグループ(通算7アンダー)にも実力者がひしめき、優勝争いはまだまだ混沌としています。特に、この日のベストスコアタイ「67」を叩き出した河本結選手(11位タイ)は、「背筋をピンと伸ばす意識で自信が湧いた」と語り、5打差からの逆転劇も視野に入れています。
最終日の行方 – 天候と精神力が鍵を握る葛城決戦
最終日は天候が崩れる予報が出ており、難コース葛城がさらにその難易度を増す可能性があります。雨と風の中で、いかに冷静にコースを攻略できるか、各選手の精神力が試される一日となりそうです。
単独首位の穴井選手が、得意のパー5でリードを広げ、2年ぶりの女王に輝くのか。それとも、経験豊富な藤田選手、全美貞選手が逆転を見せるのか。あるいは、小林選手や安田選手といった若手が、プレッシャーをはねのけて初優勝を掴むのか。はたまた、後続からのチャージがあるのか。
様々なドラマが予想される最終日。春の女王の座をかけた、最後の18ホールから目が離せません。