まるでドラマのような結末が、テキサス州ウッドランズの地で待っていました。2025年4月27日(日本時間28日)、ザ・クラブ・アット・カールトン・ウッズで開催されたLPGAメジャー初戦「シェブロン選手権」。この大舞台で、日本の西郷真央選手(23歳、島津製作所所属)が、見事メジャー初優勝を飾りました。しかも、LPGAメジャー史上最多タイ記録となる5人による熾烈なプレーオフを制しての勝利。LPGAツアーでの初優勝がメジャータイトルという、輝かしい快挙です。
最終盤にドラマが凝縮! 5人のプレーオフへ
首位タイからスタートした最終日。西郷選手はバーディーとボギーが入り混じる、まさにアップダウンのある展開となりました。一時は優勝争いから少し後退したかにも見えましたが、土壇場で驚異的な粘りを見せます。勝負の分かれ目となったのは、最終18番ホール(パー5)。ここで見事にバーディーを奪い、通算7アンダーへ。この一打が、歴史的なプレーオフへの扉を開きました。

最終ラウンドが終わり、スコアボードのトップには5人の名前が並びました。西郷選手に加え、アリヤ・ジュタヌガーン選手(タイ)、キム・ヒョージュ選手(韓国)、イン・ルオニン選手(中国)、そしてリンディ・ダンカン選手(米国)。通算7アンダーで並んだこの5選手によるプレーオフは、LPGAメジャー史上最も多い人数での優勝決定戦となりました。
息詰まる展開、プレーオフの行方
プレーオフの舞台は、再び18番ホール。誰もが勝利への執念を見せる中、イン・ルオニン選手が2打目をグリーンに乗せ、イーグルチャンスを迎えます。しかし、このパットはカップを逸れ、続くバーディーパットも無情にもカップの縁に嫌われてしまいます。次にチャンスを迎えたジュタヌガーン選手も、バーディーパットを決めきれず、パー。勝負の行方は、ますます混沌としてきました。

そんなプレッシャーが最高潮に達する場面でも、西郷選手は落ち着いていました。グリーン奥のラフからの3打目、難しいアプローチショットをピンそば約1.2メートル(4フィート)にピタリと寄せます。そして、このウィニングパットとなるバーディーパットを、確かなストロークでカップに沈めました。勝利が決まった瞬間、西郷選手の目からは熱いものがこぼれ落ちました。
輝きを放つ新星、西郷真央選手
2024年のLPGAルーキー・オブ・ザ・イヤーにも輝いた、将来を嘱望される西郷選手。今回の優勝は、LPGAツアーでの記念すべき初勝利であり、樋口久子氏、古江彩佳選手、渋野日向子選手、笹生優花選手に続く、日本人選手5人目のメジャー制覇という金字塔でもあります。
西郷真央選手 プロフィール概要
項目 | 内容 |
名前 | 西郷 真央 (さいごう まお) |
生年月日 | 2001年10月8日(23歳) |
出身地 | 千葉県船橋市 |
所属 | 島津製作所 |
プロ転向 | 2020年 |
主な実績 (LPGA) | 2024年 ルーキー・オブ・ザ・イヤー |
主な実績 (JLPGA) | 通算6勝 (2022年に5勝) |
今回の優勝 | LPGAツアー初優勝、メジャー初制覇 |
世界ランキング(優勝前) | 37位 (Rolex Rankings) |
優勝後のインタビューでは、「夢見ていた優勝。まだ信じられない気持ちです」と、涙で言葉を詰まらせながら喜びを表現。「正規の18番でしっかりバーディーを決められたことが、プレーオフでの自信になりました。最後のパットは、本当に手が震えました」と、激闘の末の勝利を、感慨深げに振り返りました。
シェブロン選手権という舞台
シェブロン選手権は、LPGAツアーにおける5つのメジャー大会の一つです。かつては「ダイナ・ショア」という名称で長年親しまれ、カリフォルニア州ミッションヒルズでの開催時には、優勝者が18番グリーン脇の「ポピーズポンド」に飛び込むのが、祝福の習わしでした。開催地がテキサスに移った今もその伝統は受け継がれ、西郷選手も歓喜の中、チームメンバーと共に池へとダイブ。喜びを爆発させました。優勝賞金は120万ドル(約1億8千万円 ※1ドル150円換算)です。
今回の西郷選手の歴史的な優勝は、日本のゴルフファンにとっても大きな喜びと興奮をもたらしました。この大きな勝利を糧に、西郷選手のさらなる飛躍に期待が集まります。