「世界陸上」のメインキャスターとして、陸上競技への深い造詣と情熱的な応援スタイルでお馴染みの俳優、織田裕二さん。その織田さんが、ゴルフの祭典「マスターズ」を前に、自身のゴルフ愛について語るという、ファンにとっては新鮮な機会が訪れました。これまで公の場で深く語ることのなかったゴルフについて、織田さんならではの視点と言葉で、その魅力やマスターズへの思いが明かされました。
始まりは突然に:織田裕二とゴルフの出会い
織田さんがゴルフを始めたのは19歳か20歳の頃。意外にも、きっかけは所属していた会社の社長からの勧め(というよりは、半ば強制的な指示)だったそうです。「買ってあげるからゴルフやれ!」その一言で、織田さんのゴルフ人生は幕を開けました。
当初は練習場で父親に連れられて何度か打った経験がある程度。しかし、始めてみるとその奥深さに魅了されたようです。特に若い頃は、「見る」よりも「プレーする」ことへの欲求が強く、「見る時間があったら(練習場へ)行きたい、球打ちたい」というほどのめり込んでいったと言います。


織田裕二のゴルフ歴 (要約) | 詳細 |
開始時期 | 19歳~20歳頃 |
きっかけ | 当時の所属事務所社長からの勧め |
若い頃のプレースタイル | 観戦よりプレーを優先。時間があれば練習場でボールを打ち込むタイプ |
得意クラブ (当時) | ドライバーの精度に悩み、方向性の良いロングアイアン (ドライビングアイアン) を多用 |
休止期間 | 過度な練習による両手首の負傷で、10年以上プレーから遠ざかる |
プレーヤー目線で見るマスターズ中継の価値
織田さんは、TBSによるマスターズ中継の価値を強調します。特に、海外メジャートーナメントが地上波で、しかも無料で視聴できることの貴重さを力説。「タダで見せてくれる」「こんなにちゃんとしたものを見せてくれる国なんてないと思う」と、その環境への感謝を述べました。


一方で、プレーヤーとしての視点から「(放送時間が)長い」ともコメント。自身がプレーすれば4時間程度で終わるラウンドが、全選手を追う中継となると長時間になるのは当然ですが、そこにもプレーヤーならではの実感がこもります。
転機となった松山英樹のマスターズ制覇
10年以上ゴルフから離れていた織田さん。その情熱を再燃させた大きなきっかけが、2021年の松山英樹選手のマスターズ優勝でした。
「たまたま本当に偶然、2021年のマスターズを見て…」
テレビで松山選手の歴史的快挙を見届けた織田さんは、ふと自身の手首の痛みが消えていることに気づきます。「あれ?痛くないぞ。ゴルフ出来るかもしれないと思って、クラブを握ったんです」。松山選手の優勝が、織田さんに再びゴルフへと向かう力を与えた瞬間でした。

織田さんは、松山選手の優勝の偉業を「日本人がマスターズで勝ったっていうのが…(陸上で言えば)100mで世界一になるくらい、ありえないでしょう?」と、自身が深く関わる陸上競技に例えて表現。その衝撃と感動の大きさを物語ります。
また、優勝決定の瞬間、中嶋常幸プロをはじめとする放送席の解説陣が感極まって涙し、放送が一時沈黙した「沈黙の55秒」にも言及。「大の男3人が涙する事なんてないじゃないですか。人の話ですよ?自分で(プレーしているわけでも)何でもないんだよ?親戚でも何でもないのに。こんなに泣けるって凄い」と、あの瞬間の感動を共有した一人として熱く語りました。松山選手本人も、後にその放送を見て「(解説者が)泣きすぎですよ!」「それ見て泣いてました、僕」と語っており、多くの人々の心を揺さぶった出来事であったことがうかがえます。
織田裕二が選ぶマスターズ名場面と注目選手
長年スポーツを見てきた織田さんならではの視点で、マスターズの名場面にも触れています。
マスターズ名場面 (織田裕二言及シーン) | 年代 | 選手 | 概要 |
伝説のチップイン | 2005年 | タイガー・ウッズ | 16番Par3、グリーン奥からの奇跡的なチップインバーディ |
天才レフティーのスーパーショット | 2010年 | フィル・ミケルソン | 13番Par5、林の中から松葉の上を滑らせてピンそばにつける絶技 |
タイガーまさかの悲劇 | 2020年 | タイガー・ウッズ | 12番Par3、ティーショットを3度クリークに入れ、1ホールで10打を記録 |
同組2人の超絶バンカーショット | 2022年 | ローリー・マキロイ / コリン・モリカワ | 最終18番、同組の2人が連続でバンカーから直接カップインさせる離れ業 |
運も味方に?珍しい一打 | 2016年 | ルイ・ウェストヘーゼン | 16番Par3、ティーショットが同伴競技者のボールに当たりホールインワン達成 |
これらの場面を通して、織田さんはタイガー・ウッズやウサイン・ボルトといった超一流アスリートに共通する「ここぞという時に決めてくる」「余裕がある」点や、逆にタイガーのようなスーパースターが苦しむ姿に「人間だったんだ」と共感する点など、独自の分析を披露しました。

今年のマスターズについて注目選手を問われると、「もちろん松山選手もそうだけど、日本人にはこだわってないので。タイガー(ウッズ)だって日本人じゃないでしょ?でも好きな人は好きでしょ?僕も好きだし」と前置きしつつ、「今年は誰が光るのかな」と、特定の選手に偏らない、全体のドラマへの期待感を語りました。
ゴルフへの深い愛情と、アスリートへの敬意、そしてファンとしての純粋な興奮。織田裕二さんを通して語られるマスターズは、また新たな魅力を放っています。今年の大会も、きっと多くのドラマが生まれることでしょう。