
多くのアスリートが持つ高い身体能力。それはゴルフにおいても大きなアドバンテージになるはず…と思いきや、意外な落とし穴があるのかもしれません。百獣の王としても知られる武井壮さんがX(旧Twitter)で興味深い指摘をしています。今回は、その内容を紐解きながら、すべてのゴルファーにとって上達のヒントを探ります。
アスリートがゴルフ上手くならない理由の一つは、最適な力を加えたスイングよりも、自分の体の動作能力や筋力をもっと使えるからなんだと思う。…
— 武井壮 (@sosotakei) March 30, 2025
なぜトップアスリートでもゴルフに苦戦するのか?武井壮氏の分析
武井壮さんは、アスリートがゴルフで上達しにくい理由の一つとして、「最適な力を加えたスイングよりも、自分の身体能力や筋力をもっと使えてしまう」点を挙げています。

一度、理想的なスイングで素晴らしいショットが出たとします。多くのゴルファーは、その感覚を再現しようと努めるでしょう。しかし、武井さんによれば、特に高い身体能力を持つアスリートは、そこで満足せず、「もっと強く、もっと良い球を」と、次のショットで更なる出力を試みてしまう傾向があるというのです。これは、常に「今以上」を目指し、自身の限界を引き上げようとするアスリートとしての本能とも言えます。
ゴルフにおける「ここまで」の重要性
武井さんは、ゴルフには「ここまで」という、いわば「最適解」が存在すると指摘します。飛距離やパワーを追求するだけでなく、そのショットにおける最適な力加減、最適なスイング軌道を理解し、それを「積み重ねる」ことが重要だというのです。

幼少期からゴルフに親しんだり、この「ここまで」の感覚を意識的に習得できた人は、スムーズに上達しやすい傾向にあります。対照的に、「今以上」を常に追求してきたアスリートは、この「最適解で止める、繰り返す」という作業が苦手な場合がある、というのが武井さんの見立てです。


スポーツ経験による上達スピードの違い:武井壮氏の考察
さらに武井さんは、アスリートの中でも、過去に取り組んできたスポーツの種類によってゴルフの上達スピードに差が出る可能性があると述べています。

スポーツ経験のタイプ | 主な特徴 | ゴルフへの影響 (武井氏の考察に基づく) |
ラケットスポーツ (テニス、卓球、バドミントンなど) | 道具を使い、繊細な力加減やコントロールが求められる | 「ここまで」の感覚を掴みやすく、上達が早い傾向 |
コントロール系スポーツ (野球の投手、ダーツ、アーチェリーなど) | 精度や再現性が重視される | 同上 |
最大出力を求めるスポーツ (陸上競技の短距離・投擲、ウェイトリフティングなど) | より速く、より遠くへ、より重く、といった最大能力の発揮を追求 | 最適な力加減での反復、「積み重ね」が苦手な傾向 |
もちろん、これはあくまで傾向であり、すべてのアスリートに当てはまるわけではありません。しかし、自身のスポーツ経験と照らし合わせることで、ゴルフへの取り組み方のヒントが見つかるかもしれません。


「再現性」を高めるために:アスリート思考からゴルフ思考へ
武井壮さんの指摘は、ゴルフ上達の核心である「再現性」の重要性を改めて示唆しています。では、どうすれば「今以上」を求めるアスリート的な思考から、「ここまで」を積み重ねるゴルフ的な思考へとシフトできるのでしょうか。

- 「完璧な一打」より「再現可能な良いショット」を目指す: 100点のショットを追い求めるのではなく、70点、80点のショットを安定して打てるようになることを意識します。
- データや感覚を記録する: 良いショットが出た時の力感、スイングのイメージなどを具体的に記録し、それを再現する練習を取り入れます。
- 目的意識を持った練習: ただ球数を打つのではなく、「今日はフェードを安定させる」「この番手で150ヤードを確実に打つ」など、明確な目標を持って練習に取り組みます。
武井壮さんの考察は、身体能力が高いアスリートだけでなく、すべてのゴルファーにとって、自身のゴルフを見つめ直す良い機会を与えてくれます。自身の持つポテンシャルを最大限に活かしつつ、ゴルフ特有の「ここまで」という感覚を磨くこと。そのバランスの中に、スコアアップの鍵が隠されているのかもしれません。

