
カリブ海の楽園、ジャマイカ。透き通る海と鮮やかな緑に彩られたこの島には、豊かな歴史と文化が息づいています。その中でも、モンテゴ・ベイに位置するローズホール・グレートハウスは、昼間はジョニー・キャッシュのファンが訪れる歴史的な観光名所であり、チャンピオンシップ・ゴルフコースを擁するリゾート地として知られています。
しかし、日が沈み、夜のとばりが下りると、ローズホールは全く異なる表情を見せるといいます。その理由は、19世紀にこの地を支配したとされる「ホワイト・ウィッチ」、アニー・パーマーの伝説にあります。
この記事では、ローズホールにまつわるミステリアスな物語と、その歴史に迫ります。ゴルフコースの魅力と併せて、この地の独特な雰囲気を感じてみてください。
ホワイト・ウィッチ、アニー・パーマーの伝説

アニー・パーマーは、3人の夫を殺害し、ローズホールの奴隷たちを恐怖に陥れた冷酷な女性として語り継がれています。彼女が復讐によって殺された後、その魂はホワイト・ウィッチ・ゴルフコースがあるこの地に留まり、今もなお夜な夜な馬に乗って徘徊していると言われています。
ジョニー・キャッシュも、この地に魅せられ、ローズホールの近くにあるシナモンヒル・グレートハウスで作曲活動を行っていました。1973年のヒット曲「The Ballad of Annie Palmer」は、まさにアニー・パーマーの伝説を歌ったものです。
伝説と現実の狭間:アニー・パーマーは実在したのか?
しかし、アニー・パーマーの物語は、全てが真実であるとは限りません。超常現象研究家のベンジャミン・ラドフォードは、アニー・パーマーの伝説を綿密に調査し、その多くが事実とは異なる可能性を指摘しています。
ラドフォードによると、アニー・パーマーの物語は、1830年代の奴隷解放運動家の記録や、1929年に出版された小説など、様々な情報が混ざり合って生まれた可能性が高いとのことです。
歴史的な記録を紐解くと、アニー・パーマーとは全く異なる人物像が浮かび上がってきます。彼女は奴隷を所有しておらず、1846年に別の場所で亡くなったという記録が残っています。
語り継がれる伝説:その魅力と背景
では、なぜアニー・パーマーの伝説は、これほどまでに広く知られるようになったのでしょうか?
ラドフォードは、その理由として、人間の心理や、ジャマイカの歴史的な背景などを挙げています。残酷な悪役に対する人間の興味、奴隷制時代の記憶、そして観光資源としての魅力などが複雑に絡み合い、アニー・パーマーの物語は世代を超えて語り継がれてきたと考えられます。
ゴルフコースの魅力と、そこに息づく歴史の重み
ローズホールには、ホワイト・ウィッチ・ゴルフコースとシナモンヒル・ゴルフコースの2つのチャンピオンシップコースがあります。
ホワイト・ウィッチ・ゴルフコースは、ターコイズブルーの海に囲まれた、美しい景観が魅力です。しかし、その一方で、アニー・パーマーの伝説が影を落とし、夜間にはコースに出ることを拒むスタッフもいるといいます。
シナモンヒル・ゴルフコースは、15番グリーンの滝が、ジェームズ・ボンド映画「死ぬのは奴らだ」のロケ地として使用されたことでも知られています。
これらのゴルフコースは、単にスポーツを楽しむ場所ではなく、ジャマイカの歴史と文化を体感できる場所でもあります。
ローズホールを訪れる際には、ゴルフを楽しむだけでなく、アニー・パーマーの伝説に耳を傾け、その歴史とミステリーに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
