
2025年4月26日、春の陽気に包まれた愛媛県の エリエールゴルフクラブ松山 ここで開催された国内女子下部ステップアップツアー「 大王海運レディスオープン 」最終日は、記憶に残る一日となりました。主役は、2024年度プロテストに合格したばかりのルーキー、青木香奈子選手(25歳)。同じくルーキーの中村心選手(19歳)との手に汗握るプレーオフを制し、見事プロとして初めての優勝カップを手にしました。
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青木香奈子選手 プロ初優勝!
\マイナビ所属アスリート プロゴルファー #青木香奈子 選手🏌️♀️#大王海運レディスオープン 優勝🥇
プレーオフを制してプロ初V✨本当に、おめでとうございます👏
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首位からの試練、そしてプレーオフへ
最終日を単独首位でスタートした青木選手。前半は快調にスコアを伸ばし、一時は後続に3打差をつけるなど、危なげない展開かと思われました。しかし、ゴルフの神様はそう簡単には微笑んでくれません。勝負どころの終盤、15番からまさかの3連続ボギー。通算12アンダーでホールアウトしたものの、後続に追いつかれる形でクラブハウスへ。その間隙を突いたのが、2位からスタートした同期の中村心選手でした。この日「69」とスコアを伸ばし、土壇場で青木選手に並びます。勝負の行方は、二人のルーキーによるプレーオフに委ねられました。
息詰まる攻防、勝負を決めた技と心
プレーオフの舞台となったのは18番パー4。最初の2ホールは互いにパーを譲らず、緊迫感は高まるばかり。特に2ホール目、青木選手はピンチを迎えます。第2打がグリーン左奥の芝が薄い難しいライへ。ピンまでは約13ヤード、しかもグリーン面は下り傾斜という状況でした。
「グリーン手前にショートだけはしたくない」。その一心で58度のウェッジを振り抜くと、ボールは狙い通りグリーン手前に柔らかく着地し、ピンそば1メートルへ。「まさに120点の出来です」と本人が振り返る、プレッシャーを跳ねのける見事なアプローチでパーをセーブ。この一打が、明らかに流れを呼び込みました。
そして迎えた3ホール目。ピンチをしのいだ青木選手は、第2打をピン手前2.5メートルにつけるチャンスメイク。対する中村選手はパーセーブならず。青木選手は「返しのパットを打ちたくない」と、全ての集中力を注ぎ込み、このバーディパットを確実に沈めました。その瞬間、プロとして初めての栄冠が決まりました。
優勝の心境を問われた青木選手は、「マジか!?」と、6度目の挑戦で掴んだプロテスト合格時と同じくらい、実感が湧かない様子だったと語っています。
勝利を手繰り寄せた地道な努力
【🚢🏆大王海運レディスオープン最終日が終わりました🏆🚢】
18ホール終了時点で首位にいたのは、トータル12アンダーで青木香奈子選手と中村心選手。
決着はつかずプレーオフへ。
3回までもつれ込んだプレーオフを制し、見事優勝に輝いたのはルーキー青木香奈子選手!… pic.twitter.com/7LxnEU3v1F— 大王海運レディスオープン【公式】 (@daiokaiunladies) April 26, 2025
青木選手の勝利は、決して運だけではありません。プロテスト合格前から、課題としていたアプローチとパッティングの技術向上のため、専門コーチに師事。プロ入り後にはメンタルコーチとも契約を結び、技術と精神の両面から自身を磨き続けてきました。プレーオフ2ホール目で見せた冷静な状況判断と確かな技術は、まさに日々の地道な努力と周到な準備が実を結んだ瞬間でした。
若手の躍進、大会を彩る
今大会は、優勝した青木選手、プレーオフで惜敗した中村選手をはじめ、若手選手の活躍が光りました。トップ10に入った11人のうち、7人がルーキーというフレッシュな顔ぶれ。今後の女子ゴルフ界を担うであろう選手たちの台頭を感じさせる大会となりました。
<大王海運レディスオープン 上位成績>
順位 | スコア | 選手名 | 備考 |
優勝 | -12 | 青木 香奈子 | プレーオフで勝利 |
2 | -12 | 中村 心 | |
3 | -11 | 荒木 優奈 | |
4 | -9 | 叶 結衣 | アマチュア |
5T | -8 | 水木 春花 | |
5T | -8 | 福田 萌維 | |
7T | -7 | 寺岡 沙弥香 | |
7T | -7 | 古家 翔香 | |
7T | -7 | 酒井 美紀 | |
7T | -7 | 高木 優奈 | |
7T | -7 | 奥山 純菜 | |
23T | -3 | 都 玲華 | 昨年アマチュア優勝者 |
プレーオフで敗れた中村心選手は、「あっけなく負けてしまった」と悔しさを隠せませんでしたが、「3日間良いプレーもたくさんありました。来週のパナソニックオープンで優勝争いができたら」と、すぐに次を見据えていました。

3位の荒木優奈選手も、「パッティングさえ決まれば…本当に悔しい」と唇を噛みましたが、「次戦に向けて勢いがついた。この勢いのまま上位に」と力強く語りました。
ルーキーの青木香奈子がプロ初優勝 同期の中村心とのプレーオフを制する/女子下部#青木香奈子 #中村心 #大王海運レディスオープン #ゴルフhttps://t.co/sgR4h0SL4I
— GDOニュース (@GDO_news) April 26, 2025
前週優勝からの連続Vはならなかったものの、5位タイで終えた水木春花選手。「優勝後のプレッシャーもあったけど、悪い流れを断ち切れたのは大きい。成長を感じています」と手応えを口にし、次戦の台湾での高額賞金大会へ「ぜひ勝ちにいきたい」と意欲を見せました。
新たなステージへ、広がる可能性
この優勝により、青木選手はレギュラーツアーの「 大東建託・いい部屋ネットレディス 」、そしてメジャー大会「 ソニー日本女子プロゴルフ選手権 」への出場権を獲得しました。特に日本女子プロゴルフ選手権の会場は、昨年の最終プロテストと同じ大洗ゴルフ倶楽部。「今回の優勝と同じぐらい嬉しいです」と、特別な思いがあることを明かしました。
今季の目標であるレギュラーツアーでのポイント獲得と、ステップ・アップ・ツアーランキング上位入りに向け、大きな一歩を踏み出した青木選手。今回の優勝を自信に、さらなる活躍が期待されます。