パリオリンピック ゴルフ競技、2日目。首位争いを繰り広げるザンダー・シャウフェレ選手[Xander Schauffele]に、思わぬ試練が訪れました。それは、なんと「アリの巣」との遭遇。状況を整理しながら、ゴルフの奥深いルールについても探ってみましょう。
難関ホールで遭遇した「想定外」
舞台は、ル・ゴルフ・ナショナル13番ホール(パー4)。左へのミスショットからラフにつかまったシャウフェレ選手。巻き返しを図る重要な場面で、彼のボールは「アリの巣」のすぐそばに止まってしまったのです。
ゴルフ規則に精通しているシャウフェレ選手は、競技委員を呼び寄せます。果たして、アリの巣は救済の対象となるのでしょうか?
ルースインペディメント? 危険な動物? ルールブックを開いてみた
ゴルフ規則では、コース上のあらゆる状況を想定し、細かくルールが定められています。今回のケースに関係する可能性があるのは、以下の2点です。
- ルースインペディメント (規則15.1):
- 石、葉っぱ、枝など、固定されていない自然物
- 動かせても、ボールやスタンスに影響が出なければ罰なし
- 異常なコースの状態 / 危険な動物の状態 (規則16.1b):
- 動物の糞、危険な昆虫の巣など、プレーヤーに危害が及ぶ可能性がある場合
- 救済を受けられる場合がある(罰打なし)
アリの巣は、一見すると「ルースインペディメント」に該当するように思えます。しかし、状況によっては「危険な動物の状態」と判断される可能性もあり、競技委員の判断が注目されました。
競技委員とのやり取り、そしてセカンドオピニオンへ
競技委員との協議の結果、「アリの巣は救済対象外」という裁定が下りました。ルースインペディメントではあっても、「危険な動物の状態」とまでは判断されなかったようです。
納得のいかない表情を見せるシャウフェレ選手。彼は、さらに一歩踏み込んだ質問を投げかけます。「ボール後方の砂(ルースインペディメント)を取り除く際に、クラブを使ってアリを動かすことは可能か?」
最初の競技委員は「可能」と回答。しかし、確信を得られないシャウフェレ選手は、セカンドオピニオンを求める決断をします。
最終的に下された判断は、「芝を動かしてはいけないが、ティーを使ってアリを動かすことはできる」。こうして、シャウフェレ選手はアリを傷つけることなく、ショットに臨むことになったのです。
勝負の行方、そして私たちがルールから学ぶこと
このホールをボギーとしたシャウフェレ選手でしたが、その後も集中力を切らすことなくプレー。2日目を5アンダーで回り、トータル11アンダーでホールアウトしました。
A look at the leaderboard after the second round @OlympicGolf ⛳️
T1. (USA) Xander Schauffele (-11)
T1. (JPN) Hideki Matsuyama (-11)
T1. (GBR) Tommy Fleetwood (-11)
4. (ESP) Jon Rahm (-9)
T5. (BEL) Thomas Detry (-8)
T5. (CTP) C.T. Pan (-8)
T5. (KOR) Tom Kim (-8)— PGA TOUR (@PGATOUR) August 2, 2024
今回の珍事は、私たちにゴルフというスポーツの奥深さを改めて教えてくれます。ルールブック片手に観戦すると、競技の面白さが倍増するかもしれません。
そして、勝負の行方はいかに? シャウフェレ選手の2大会連続金メダル獲得に期待が高まります。