まず安全の確保を優先してください。この記事は被害の解説ですが、今まさに揺れの直後・余震の中・津波警報等のもとにいる方は、安全行動(頭を守る・高台へ避難する・4人で固まる)を先に行ってください。解説は、安全が確保できてからお読みください。
熊本で、再び大きな地震が起きました。2016年の揺れを覚えている方にとって、今回の報は特に重いものだったと思います。

2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とする地震が発生し、最大震度7、マグニチュード7.1、震源の深さは10kmと発表されました。津波警報等が発表され、緊急地震速報も出ています。余震が続く見込みです。
この記事は、2つのことを書きます。ひとつは、2016年の熊本地震でゴルフ場に実際にどのような被害が出たか。もうひとつは、その被害の型が、今回「どこを確認し、何を待てばよいか」の目安としてどう使えるかです。
なお、今回の被害の詳細は、執筆時点で速報段階であり、確定していません。そのため本記事は、特定のコース名や倒壊の有無を断定しません。代わりに、2016年に確認された被害の「型」を示します。型が分かれば、今回も確認すべき箇所が絞り込めます。
2016年と2026年——確定事実と速報段階の区別
以下を混同しないことが、この記事の出発点です。
| 項目 | 2016年 熊本地震 | 2026年 7月28日の地震 |
|---|---|---|
| 発生 | 4月14日の前震・4月16日の本震、いずれも最大震度7 | 7月28日16時27分ごろ、最大震度7・M7.1・深さ10km |
| 情報の性質 | 確定した事実 | 速報段階(今後更新されうる) |
| ゴルフ場の被害 | 地割れ・バンカーの崩れ・倒木・断水などが確認された | 詳細は未確定。2016の型を「確認リスト」として転用 |
【1】2016年、ゴルフ場にどのような被害が出たか
2016年の熊本地震では、住宅や道路だけでなく、ゴルフ場にも明確な被害が出ました。個別のコース名は断定しませんが、報道と各コースの復旧報告をたどると、被害の型は共通しています。今回も同じ型が起こりうるため、先に把握しておきます。
なお犠牲者数について、熊本県のまとめでは、直接死と災害関連死を合わせて270人を超え、その多くを災害関連死が占めています。ゴルフ場の被害も、建物そのものより「地面・ライフライン・アクセス」の被害によって営業が止まる点が特徴でした。
| 被害の型 | 2016年に確認されたこと | 主な要因 |
|---|---|---|
| 地割れ | フェアウェイやグリーンに亀裂が生じた | 揺れによる地盤の変状 |
| 液状化 | 低地や埋立地に立地するコースで発生 | 地下水位の高い地盤が揺れで軟弱化 |
| バンカーの崩れ | 砂面が崩れ、アゴが落ちた | 傾斜した砂が揺れで崩落 |
| 倒木 | コース内の樹木が倒れ、フェアウェイを塞いだ | 根の浅い樹木・斜面の樹木が転倒 |
| クラブハウス・設備の損傷 | ガラスの破損、什器の転倒、浴室・厨房の破損 | 揺れによる内外装・什器の損傷 |
| 断水・停電 | 水道・電気が止まり、営業不能に | 地域のライフラインの停止 |
| 道路の寸断 | 山間部のコースで、橋や道路の被害により到達困難に | 一本道が多い山間部の地形(阿蘇大橋の崩落に象徴される幹線被害) |
| 余震の長期化 | 復旧に数週間〜数か月を要したコースも | 本震後も余震が続き、点検と修復が長期化 |
表の通り、ゴルフ場の被害は建物の損壊だけではありません。地面そのもの(地割れ・液状化・バンカーの崩れ)、ライフライン(水・電気)、アクセス(道路)のいずれかが損なわれれば、建物が無事でも営業はできません。2016年は、これらが同時に起こりました。
【2】今回の地震で確認すべきこと
今回の被害の詳細は確定していません。したがって「特定のコースが倒壊した」といった断定調の情報には飛びつかず、2016年の被害の型を「確認リスト」として使うのが、現時点で最も実用的な動きです。
| 2016年の型 | 今回、確認すべきこと・待つべきこと |
|---|---|
| 地割れ・液状化 | コース公式の「コース状態・営業案内」を待つ。自己判断で見に行かない |
| 倒木・バンカーの崩れ | 同上。復旧には点検と重機が必要で、時間を要する前提で待つ |
| 断水・停電 | 地域のライフライン復旧情報と合わせて確認する |
| 道路の寸断 | 自治体の道路規制情報を確認する。山間部のコースは特に |
| 余震の長期化 | 深さ10kmは余震が多い傾向。再開を急がない |
津波警報等と、有明海・八代海の注意点
熊本県は有明海・八代海に面します。外洋の大津波とは性質が異なり、干満差が大きいため水位変動の見極めも難しい海域です。しかし警報等が発表されている以上、湾内の水位変動・河口の逆流・干満との重なりの危険はあります。「内海だから大丈夫」とは考えず、海岸・河口・低地からは離れ、公式の解除を待ってください。解除されるまで、自己判断で戻らないでください。
【3】今、すべきこと・すべきでないこと
遠方の方、ホームコースが熊本・九州にある方、それぞれに今できることがあります。同時に、今は控えるべきこともあります。
- 被災したコースへ様子見に行かない。これが最も重要です。倒木・地割れ・余震・断水の中で現地に入る行為自体が危険であり、復旧作業と救助の妨げになります。気持ちは理解できますが、行かないことが支援になります。
- 安否と営業情報は、コース公式と自治体の発表で確認する。SNSの断定調の投稿や、過去の災害の画像を転載しないでください。誤情報が現場を最も混乱させます。
- ボランティア・支援は公式の窓口を経由する。個人が独自判断で現地に入ると、かえって負担になります。募集が始まってから、指定の方法で参加してください。
- 自分のホームコース・行きつけの練習場の安否は、落ち着いてから確認する。今はまず、ご自身とご家族の安全を優先してください。
「様子を見に行きたい」という気持ちは、そのコースを大切に思っている証拠です。しかし今は、行かないことこそが、そのコースを守ります。
【4】復旧の現実と、希望
一方で、2016年に関する重要な事実もあります。被害を受けた多くのゴルフ場が、時間をかけて復旧し、営業を再開しました。地割れを埋め、倒木を撤去し、バンカーを修復し、ライフラインを繋ぎ直しての再開でした。復旧は容易ではありませんでしたが、多くのコースが実際に営業を再開した事実は残っています。
2016年に復旧したコースがあった事実は、今回への希望です。同時に、「復旧には時間を要する」ことも教訓です。数週間で再開したコースもあれば、数か月を要したコースもあります。再開を急がず、点検と修復を待つことが、コースとそこで働く人を守ります。
ゴルフ場は、単なる遊び場ではありません。そこで働く人がおり、地域の一部です。2016年には多くの人が復旧に携わりました。今回も同様の営みがなされます。私たちにできるのは、焦らず、正確な情報を待ち、公式の支援に従うことです。
「再び熊本で」と感じた方へ
「再び熊本で」と感じた重さは、間違ったものではありません。2016年の記憶が残る土地で、再び大きな揺れが起きたのですから、怖さを感じるのは当然です。
ただし、2016年を経た今、私たちは「何が起こりうるか」を前回より知っています。地割れ、倒木、断水、道路の寸断、余震の長期化。知っていることは備えにつながり、備えは不安を和らげます。
今、揺れの直後にいる方は、まず安全を確保してください。解説は後で構いません。遠くで見守る方は、断定調の情報に飛びつかず、正確な発表を待ってください。そしていつか、復旧したフェアウェイに再び立てる日が来ます。2016年に、多くのコースが実際に再開した事実が、それを示しています。
スコアもクラブも、後で構いません。まず、あなたと、あなたの周りの人が無事であることを願います。
※2016年の犠牲者数「270人超」は、直接死と災害関連死を合わせた熊本県のまとめに基づく概数です。2026年7月28日の地震の被害詳細および各コースの状況は速報段階であり、本記事は断定していません。最新情報は必ず気象庁・NHK・熊本県および各自治体の防災情報・各ゴルフ場の公式発表でご確認ください。本記事は安全行動と被害パターンの一般的な目安であり、個別の避難判断・被害判断を代替するものではありません。

