「4日間、長かった…」。JLPGAツアー最高額賞金大会「アース・モンダミン・カップ」を制した佐久間朱莉選手。優勝カップをその手にした直後のインタビューで、彼女は安堵の表情とともに、この熾烈な戦いを静かに振り返りました。初優勝から瞬く間に3勝目を挙げた22歳の言葉には、技術的な進化だけでなく、確かな精神的成長が表れていました。
「焦らなくなった」— 勝利がもたらした精神的変化
今大会、彼女の強さを最も象徴していたのは、その落ち着きでした。首位と1打差でスタートした最終日は、前半にショットがぶれ、ボギーが先行する苦しい展開。一時は首位と3打差まで開きました。
しかし、インタビューで彼女はこう語ります。「一時はどうなるかと思いましたけど、焦らずに自分のプレーに集中すればチャンスがくると思ってプレーしていました」。
このメンタルの変化こそが、今季の彼女の強さの核心です。初優勝を経験したことで「気持ち的に余裕ができた」と言います。ボギーを叩いても、すぐ次のホールでバーディを奪い返す「バウンスバック」。この切り替えができるようになったことが、厳しい優勝争いを勝ち抜く大きな力となったのです。
自信のパッティングと「去年の方が上」と語るショット
今季の躍進を支える武器は何か。彼女は迷いなく「パッティング」を挙げました。
項目 | 2024年シーズン | 2025年シーズン(現在) |
平均パット数 | 1.7745 (11位) | 1.7434 (1位) |
本人コメント | ― | 「去年より成長した自信はある」 |


このデータと自信が、15番ホールでの勝負を分けたバーディパットにつながりました。一方で、彼女は冷静に自身の課題も口にします。「ショットは去年のほうがうまかったなと。フェアウェイキープ率があまり良くない」。この謙虚で客観的な自己分析が、彼女の伸びしろを物語っています。
明確な目標「年間5勝で女王に」と、戦い抜くための体調管理
3勝目を挙げ、メルセデス・ランキング1位を走る彼女は、新たな目標を明確にしました。
「年間5勝を挙げて、女王になることです」
その大きな目標を達成するために、過酷な夏場の連戦をどせ
戦うのか。その答えは徹底した体調管理にありました。「その日の疲れをその日のうちに取る」ことを意識し、プレー中は氷のうや水分・塩分補給、日傘は欠かさず、ラウンド後には水風呂に入って体の熱を冷ますことをルーティンにしていると明かしました。
チームとの絆と、ファンへの感謝
最終日の17番ホール、ピンポジションを見て選択した攻め方は、キャディーと話し合って決めたもの。信頼するチームとの連携が、厳しい場面での判断を支えています。
そして何より、彼女の力となっているのはファンの存在です。「暑い中、4日間本当にたくさんの応援をありがとうございました」。優勝後に応援団「さくま組」の皆さんと笑顔で写真に納まる姿からは、感謝の気持ちが溢れていました。
優勝インタビューから見えた、佐久間朱莉の強さの核心
- 精神面の成長: 初優勝を経て「焦らなくなった」という精神的な余裕が生まれた。
- 客観的な自己分析: パッティングへの自信を深める一方、ショットの課題を冷静に見つめている。
- 明確な目標設定: 「年間5勝での年間女王」を新たな目標として公言。
- 徹底した体調管理: 4日間大会を戦い抜くため、リカバリーを最重要視している。
- 周囲への感謝: チームやファンへの感謝の気持ちが、プレーの大きな支えとなっている。