PGAツアーの年間スケジュールにおいて、独特の輝きを放つのが「 チューリッヒクラシック・オブ・ニューオーリンズ 」です。2025年は4月24日から27日まで、ルイジアナ州の名門TPCルイジアナで開催されます。このトーナメントが特別な理由は、PGAツアーで唯一採用されているチーム対抗戦というフォーマットにあります。個人の技量だけでなく、パートナーとの連携と戦略が勝敗を左右する、見応えのある一戦です。
チーム戦を彩る独自フォーマット:フォーボール&フォアサム
本大会には160名の選手が出場し、80組のペアを形成します。競技フォーマットは日替わりで、初日と3日目は、各選手が自分のボールでプレーし、ホールごとに良い方のスコアを採用する「フォーボール(ベストボール)」。2日目と最終日は、1つのボールをチームで交互に打ち進める「フォアサム(オルタネートショット)」が採用されます。
この形式の組み合わせが、単なる個人の実力比べに留まらない、深い戦略性とチームワークを生み出します。また、2日間(36ホール)終了時点で上位33チームタイまでが決勝ラウンドに進めるカット制度があり、予選ラウンドから緊迫した戦いが展開されます。
大会史上最高!賞金総額約12.7億円、優勝の価値
2025年大会の賞金総額は、前年を10万ドル上回る900万ドル(約12億6900万円 ※1ドル141円換算)に増額され、大会史上最高額となりました。優勝チームには賞金260万1000ドル(約3億6674万円)が授与され、各選手が130万500ドル(約1億8337万円)を手にします。

賞金だけでなく、優勝ペアにはそれぞれ400ポイントのフェデックスカップポイント、2年間のPGAツアーシード権、そして「全米プロゴルフ選手権」を含むシグネチャーイベントへの出場資格が付与されます。一方で、マスターズへの招待や世界ランキングポイントは対象外という点も、この大会独自の特徴です。
2025年 チューリッヒクラシック 賞金配分(チーム/個人)
順位 | チーム賞金 | 個人賞金 |
1位 | $2,601,000 | $1,300,500 |
2位 | $1,062,000 | $531,000 |
3位 | $695,250 | $347,625 |
4位 | $585,000 | $292,500 |
5位 | $508,500 | $254,250 |
6位 | $436,500 | $218,250 |
7位 | $364,500 | $182,250 |
8位 | $319,500 | $159,750 |
9位 | $283,500 | $141,750 |
10位 | $247,500 | $123,750 |
(33位 | $37,620 | $18,810) |
※賞金はチーム内の選手で均等に分配されます。
ディフェンディングチャンピオンと注目ペア
昨年、ローリー・マキロイとシェーン・ローリーのペアは、プレーオフの末にチャド・レイミー&マーティン・トレーナー組を下し、劇的な勝利を収めました。今年もアイルランド出身の友人コンビが連覇を目指して参戦します。マスターズチャンピオンでもあるマキロイのプレーは、常に注目の的です。

彼ら以外にも、実力派選手たちが強力なタッグを組んでいます。メジャー2勝のコリン・モリカワは、2023年アーノルド・パーマー招待優勝者のカート・キタヤマとペアを組みます。2023年全米オープン覇者のウィンダム・クラークはテイラー・ムーアと、ツアー通算8勝のビリー・ホーシェルはトム・ホージとコンビを結成。
さらに、3年連続となるマット・フィッツパトリックとアレックス・フィッツパトリックの兄弟ペアや、2023年大会優勝のニック・ハーディ&デービス・ライリー組の再結成など、興味深いペアリングが目白押しです。どのチームが最高のケミストリーを発揮するのか、予測が難しい点も魅力の一つです。
戦略性が試されるTPCルイジアナ
大会の舞台となるTPCルイジアナは、著名なコース設計家ピート・ダイによるレイアウトです。広大なバンカーやウォーターハザードが戦略的に配置され、リスクとリワードを考慮したマネジメントが求められます。特にフォアサム形式では、ティショットの正確な配置と、パートナーを助けるアプローチショットがスコアメイクの鍵となります。この挑戦的なコースが、チーム戦ならではのドラマを引き立てます。
PGAツアーで唯一のチームトーナメントとして、今年も多くのドラマが期待されるチューリッヒクラシック・オブ・ニューオーリンズ。高額賞金と栄誉をかけた、トッププレーヤーたちの共演から目が離せません。