2025年4月13日(日本時間14日)、ゴルフ界に新たな歴史が刻まれました。ジョージア州オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブで開催されたマスターズ・トーナメント最終日、ローリー・マキロイ(北アイルランド)がジャスティン・ローズ(イングランド)とのプレーオフを制し、悲願の初優勝。同時に、タイガー・ウッズ以来25年ぶり、史上6人目となる生涯グランドスラムの偉業を達成しました。
長年の挑戦と重圧を乗り越えて
マキロイにとって、マスターズのグリーンジャケットは特別な意味を持ち続けてきました。2011年の全米オープン初優勝を皮切りに、全米プロ(2012年、2014年)、全英オープン(2014年)とメジャータイトルを積み重ねてきた彼にとって、唯一残されたタイトルがマスターズでした。「生涯グランドスラム」というゴルフ界最高の栄誉への期待は、年々大きなプレッシャーとしてのしかかっていたと言います。

2014年8月以降、11年近くメジャータイトルから遠ざかり、特にこのオーガスタでは何度も優勝争いに絡みながら、あと一歩届かない苦渋を味わってきました。「キャリアグランドスラムという重荷を背負ってきた」と語るマキロイ。今回の最終日も、決して平坦な道のりではありませんでした。
劇的な最終日とプレーオフでの決着
通算11アンダーで並んだローズとのプレーオフは、18番パー4で行われました。ここでマキロイは、ピンそば約1メートルにつける圧巻のセカンドショットを放ち、バーディーを奪取。パーとしたローズを退け、ついにオーガスタの女神を振り向かせました。
最終ラウンド自体も、まさに「ジェットコースター」のようでした。ダブルボギー発進、一時はリードを奪われる場面、さらにバックナインでのダブルボギーやボギー。「また逃してしまうのか?」という考えがよぎった瞬間もあったと、試合後に明かしています。それでも彼は、「今日の戦いは自分自身との戦いだった」と語り、長年の経験と精神力で難局を乗り越えました。優勝が決まった瞬間、彼は膝から崩れ落ち、感情を爆発させました。それは、10年以上にわたる挑戦と苦悩が報われた瞬間でした。
松山英樹、最終日に意地の「66」で21位
日本からただ一人出場した松山英樹選手も、最終日に素晴らしいプレーを見せました。前日の第3ラウンドでスコアを大きく崩し48位タイまで後退しましたが、最終日はショット、パットともに冴えを見せます。7つのバーディー(1ボギー)を奪い、この日のベストスコアタイとなる「66」をマーク。通算2アンダーまでスコアを戻し、21位タイで大会を終えました。
「昨日打ってしまった分は取り返したいと思っていた」と語った松山選手。「最終日と第2ラウンドのショットは、優勝したときと同じくらいの精度は保てていた」と手応えも口にし、「今日の6アンダーは来年の第1ラウンドにとても気分がいい状態で入れるかなと思う。またここに向けて1年間準備をしなければならない」と、すでに来年を見据えていました。
歴史に名を刻んだ男たち:生涯グランドスラム達成者
マキロイの達成した生涯グランドスラムは、プロゴルファーにとって最高の栄誉の一つです。過去にこの偉業を成し遂げたのは、わずか5人のレジェンドのみ。マキロイは、その輝かしいリストに名を連ねることになりました。
達成年 | 選手名 | 国籍 |
1935年 | ジーン・サラゼン | アメリカ |
1953年 | ベン・ホーガン | アメリカ |
1965年 | ゲーリー・プレーヤー | 南アフリカ |
1966年 | ジャック・ニクラス | アメリカ |
2000年 | タイガー・ウッズ | アメリカ |
2025年 | ローリー・マキロイ | 北アイルランド |
11年間のメジャー優勝なしという期間を経て、ついに掴んだグリーンジャケットと生涯グランドスラムの称号。35歳にしてゴルフ史に新たな1ページを刻んだマキロイの今後の活躍、そして来年のマスターズでの松山英樹選手の挑戦にも注目が集まります。
2025 マスターズ・トーナメント 最終結果(上位抜粋)
順位 | 選手名 | 国籍 | 合計 | プレーオフ |
1 | R. マキロイ | 北アイルランド | -11 | 3 |
2 | J. ローズ | イングランド | -11 | 4 |
3 | P. リード | アメリカ合衆国 | -9 | |
4 | S. シェフラー | アメリカ合衆国 | -8 | |
T5 | イム・ソンジェ | 韓国 | -7 | |
T5 | B. デシャンボー | アメリカ合衆国 | -7 | |
7 | L. アベリ | スウェーデン | -6 | |
T8 | Z. ジョンソン | アメリカ合衆国 | -5 | |
T8 | C. コナーズ | カナダ | -5 | |
T8 | J. デイ | オーストラリア | -5 | |
T8 | X. シャウフェレ | アメリカ合衆国 | -5 | |
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T21 | 松山英樹 | 日本 | -2 | |
T21 | D. ライリー | アメリカ合衆国 | -2 | |
T21 | 安秉勲 | 韓国 | -2 | |
T21 | D. バーガー | アメリカ合衆国 | -2 | |
T21 | V. ホブラン | ノルウェー | -2 | |
T21 | T. フリートウッド | イングランド | -2 |
(リーダーボードの全結果は トーナメント公式サイト 等でご確認ください)