デリー近郊のDLFゴルフ&カントリークラブを舞台に熱戦が繰り広げられた DP World Tour「 Hero Indian Open 2025 」。大会最終日は、スペインの新鋭エウヘニオ・チャカラ選手が、同大会58年の歴史で初のスペイン人チャンピオンとなる快挙を成し遂げました。招待選手として出場したチャカラ選手は、最終日を1アンダー「71」でまとめ、通算4アンダーでDP World Tour初優勝。一方、大会連覇を狙った日本の中島啓太選手は、スコアを伸ばせず通算2アンダーの単独2位に終わりました。
中島啓太は連覇ならず 快挙逃すも2週連続2位で全米プロ出場に前進https://t.co/5Y387oeWSv
— スポーツ報知 (@SportsHochi) March 30, 2025
招待出場から掴んだ栄冠:チャカラの勝負強さが光る
昨年までLIVゴルフを主戦場とし、2022年にはバンコク大会で優勝経験を持つチャカラ選手。今大会はスポンサー招待での出場でしたが、その実力は本物でした。最終日は首位スタートのプレッシャーの中、硬さを増したグリーンに多くの選手が苦しむ展開。チャカラ選手も例外ではありませんでしたが、勝負どころで見せる集中力は圧巻でした。
特に圧巻だったのは14番パー4。グリーンサイドの難しいライからのアプローチを、まるでバンカーショットのように見事にチップインさせ、貴重なバーディを奪取。 この一打が勝負の流れを決定づけ、後続を引き離す大きな要因となりました。優勝インタビューでは、「神様が助けてくれた。14番のチップインや17番のショットなど、幸運なバウンドもあった。一週間を通して忍耐強くプレーできたことを誇りに思う」と語り、招待してくれたヒーロー社への感謝と共に、DP World Tour初優勝の喜びを爆発させました。
中島啓太、連覇は逃すも2週連続2位で存在感示す
大会連覇を目指し、首位と1打差の2位からスタートした中島啓太選手。最終日も多くのギャラリーが見守る中、粘り強いゴルフを展開しました。しかし、チャカラ選手同様、難易度の高いグリーンに苦しめられ、なかなかバーディチャンスをものにできません。ようやくスコアが動いたのは後半15番パー5。ここで実に36ホールぶりとなる待望のバーディを奪い、意地を見せました。
最終的には2バーディ、2ボギーの「72」とスコアを伸ばせず、通算2アンダーの単独2位でフィニッシュ。大会連覇はなりませんでしたが、前週の「シンガポールクラシック」に続く2週連続の単独2位という結果は、彼の安定した実力を示すものです。この結果により、DP World Tourの年間ポイントランキング(レース・トゥ・ドバイ)では20位から7位へとジャンプアップ。さらに、今大会を含む4試合で構成される「アジアンスイング」のポイントランキングではトップに浮上し、5月に開催される海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」への出場権獲得に向けて大きく前進しました。
DLF G&CCの試練と賞金:トッププレイヤーたちの戦い
今年も多くのドラマを生んだ DLFゴルフ&カントリークラブ
その戦略性の高さと、特に最終日に硬さを増したグリーンは、世界トップレベルの選手たちをも苦しめました。アンジュレーションがきつく、ボールの転がりが読みにくいグリーン上で、いかにパーを拾い、少ないチャンスをものにするかが勝敗を分けました。
そんなタフなコンディションの中、上位でフィニッシュした選手たちの健闘も光りました。
- ヨースト・ルイテン(オランダ):通算1アンダー 3位タイ
- イェンス・ダントープ(スウェーデン):通算イーブンパー 4位タイ
- エイドリアン・サディエル(フランス):通算1オーバー 5位
2025 Hero Indian Open 最終結果と獲得賞金(一部)
順位 | 選手名 | 国籍 | トータル スコア | Par 72 | 獲得賞金 (USD) | 獲得賞金 (日本円) |
1 | Eugenio CHACARRA | スペイン | -4 | 71 | $382,500 | 約5,760万円 |
2 | 中島啓太選手 Keita NAKAJIMA | 日本 | -2 | 72 | $247,500 | 約3,730万円 |
3 | Joost LUITEN | オランダ | -1 | 71 | $141,750 | 約2,140万円 |
4 | Jens DANTORP | スウェーデン | Par | 73 | $112,500 | 約1,700万円 |
5 | Adrien SADDIER | フランス | +1 | 74 | $95,400 | 約1,440万円 |
6 | Joshua BERRY | イギリス | +3 | 73 | $78,750 | 約1,190万円 |
7 | Andreas HALVORSEN | ノルウェー | +3 | 75 | $63,788 | 約960万円 |
7 | Brandon STONE | 南アフリカ | +3 | 77 | $63,788 | 約960万円 |
9 | Edoardo MOLINARI | イタリア | +4 | 73 | $51,300 | 約770万円 |
10 | Andrea PAVAN | イタリア | +5 | 72 | $45,000 | 約680万円 |
※賞金総額: 225万ドル (約3億3800万円)
※日本円換算は1ドル=151円で計算した場合の目安です。2位以下の賞金は推定値を含む場合があります。
アジアンスイングの行方と今後の展望
チャカラ選手の優勝により、DP World Tourアジアンスイングのポイントレースはさらに面白みを増してきました。中島啓太選手がランキングトップに立ち、メジャー出場権獲得へ好位置につけています。前週優勝のリチャード・マンセル選手や、今大会上位の選手たちが、残る2戦でどのような戦いを見せるのか、注目が集まります。
エウヘニオ・チャカラ選手のDP World Tour初優勝という新たな歴史が刻まれたHero Indian Open 2025。彼の今後のさらなる飛躍、そして中島啓太選手をはじめとするトッププレイヤーたちの活躍に期待が高まります。